第5回 無言のメッセージをキャッチすること
子育てをしていると、子どもの行動に対して疑問や怒りの感情が湧いてしまうことがありませんでしょうか。例えばおもちゃを投げた時に「おもちゃは投げません」といってたしなめたのに、数秒後にまったく同じことをするので、ついつい叱ってしまったりすることがあるかと思います。
大人の観点からすると「なぜ?さっき言ったばかりなのに!」と思ってしまいますが、あかちゃんの頃は、記憶をつかさどる器官である【海馬】が発達していないため、経験したことを記憶しておくための機能が未熟だから同じことを繰り返してしまうのですね。
「ただの成長段階の問題であって、この子自身の問題でも無ければ、わざとやっているわけでもないのね」
そう思うと少し見方が変わって、楽な気持ちになられるのではないかと思います。
ところが子どもが大きくなってきて、下の子が生まれたり、幼稚園入園前になると、今度は期待が大きくなってきてしまうのが親というもので。。
もうお兄ちゃんなのに〇〇できないなんて困る。。あと少しで幼稚園なのにまだ〇〇なので心配。。という考えの下、大人が期待をかけすぎてしまい、お子様が不安定になる姿も時に見られます。
出来るようにしなくちゃという思いが、逆にお子様のあかちゃん返りを促進させ、保護者様がさらに心配し、それを敏感に感じ取ったお子様が不安になり、自然と成長することを拒否してまた赤ちゃん返り。。
などという良くない循環もこの時期よく見られ、ご相談をお受けすることが多くあります。
どうかお子様が「無意識に発信している情報」に敏感になって頂きたいと思います。
言葉で上手に気持ちを伝えられるようになるのはまだまだ先のことです。
「なぜできないの!」と叱るよりも、まず先に「なぜできないのかしら?」と、 お子様の様子を【観察】し【情報を収集】し【推理】する習慣が身に付くと、
怒りという原始的な感情に惑わされることなく、冷静で適切な対応ができるようになるのです。
同じことを繰り返してしまうのは器官が未熟だから、と気付いたときのように、です。
そして最後に【共感】し、言葉という道具無しにお子様を理解し受け止められたら、こんなにすばらしいことは他にありませんね。
育児をがんばるすべての保護者様へ、エールをお送りしたいと思っております。