園長のコラム

第7回 子が大輪の花を咲かせるとき

新型コロナウィルスの発生により、わたくしたちの日常が大きく変化しています。お子様を育てるには大変難しい状況となり、ご家庭では日々大変なことでしょう。

そんな中、在宅ワークや勤務時間の変更など、生活上のいろいろなご事情により、お子様とじっくり向き合えるお時間が取れるようになったかたもおられるのではないでしょうか?

これは各種能力をグングンと伸ばすための良きチャンスでもございますね。

ところが親子というものは、本当に難しいもので。。

レクチャータイムをいざ始めてみますと「何度も教えているのになぜできないのかしら?」

「全然集中してくれない」「もう〇歳なのにこんなことも出来ないなんて」と、 お子様を思うがあまり、ついイライラしたり、悩んでしまうものなのですよね。      まずは「もう〇歳なのだから〇〇させなくちゃいけない」という思いを一度、  外してみましょう。

「まだ〇歳なのにこんなことができるなんてすごいわね!」           に変換出来たら最高です。

「させなくちゃ」という思いは「〇〇出来るようになってほしいな」という    【望み】に置き換えてみましょう。

思いのベクトルを少し修正するだけで、こころにゆとりが生まれてくるように思います。お子様の脳が学ぶときは、その状況を【快】と感じている時です。    褒められる、達成感を感じる、成果が目に見える、といったことにより、     快の感情のあるシチュエーションは生み出すことが出来ます。

環境を整え、大人がリラックスした心持ちで導いてあげることさえできれば、         お子様は自然と、しかも驚異的なスピードで能力が伸びるというわけです。

させるのではなく、自らやりたいと思えるように支援することが大人の使命であり、親子ともに最も幸福な教育の形であると、わたくしは思っています。

いつまでにどうならなくてはいけない、という枠に当てはめて苦しむことなく、    芽が出て 膨らんで 葉が出て そして大輪の花を咲かせる時を楽しみに待ちたいものですね。

今日も育児をがんばるすべての保護者様へ

エールをお送りしたいと思っております。

 

 

第6回 気持ちを整えるということ

毎日の子育ては楽しくしあわせな半面、大変なものであり、忍耐を必要とするものですね。

今それに直面されている保護者様のお気持ちは手に取るようによくわかり、

どれだけの想いをお子様へ注いでいらっしゃるか、想像に難くありません。

子どもと長い時間を共にしていると、日々様々な葛藤があると思います。

親としての自分はどうあるべきか?

正しいことを教えたいのに全然伝わらない。。

理想の子育てが出来ていない。。

一生懸命な保護者様ほど思い悩み、ご自身を責めてしまわれる傾向にあると感じます。

時には子どもがかわいいと思えなくなってしまう時もあるかもしれません。

その感情は多くのかたが経験するもので、一度親となれば通過点のようなものです。

子どもが良くない行ないをする→叱る→なかなか改善しない→自己嫌悪だけが残る

そんな負のスパイラルに陥ってしまうこともありますね。

そんな時は【感情を押し殺して冷静にふるまう】よりも、

ぜひ【感情の波の原因を探し、改善への対策を明確に】してみてください。

感情を押し殺すことは対症療法、原因究明と改善策考察は根治と思ってください。

例えば、頭痛がする時に痛み止めを飲むのが対症療法であるならば、

MRIなどで脳の検査をし、正しい方針で治療を進めることが根治ですね。

どうすればこの負の感情の連鎖を防げるのか、ぜひいろいろと試してみてください。

どうか一人で苦しまず、周囲のかたに想いをお話ください。

そして、子に教えられましょう。

その本当の意味は、親が育児を通して【人間として成長できるチャンスを与えられる】

ということだと思っています。

今日も育児をがんばるすべての保護者様へ、エールをお送りしたいと思っております。

 

 

第5回 無言のメッセージをキャッチすること

 

子育てをしていると、子どもの行動に対して疑問や怒りの感情が湧いてしまうことがありませんでしょうか。例えばおもちゃを投げた時に「おもちゃは投げません」といってたしなめたのに、数秒後にまったく同じことをするので、ついつい叱ってしまったりすることがあるかと思います。

大人の観点からすると「なぜ?さっき言ったばかりなのに!」と思ってしまいますが、あかちゃんの頃は、記憶をつかさどる器官である【海馬】が発達していないため、経験したことを記憶しておくための機能が未熟だから同じことを繰り返してしまうのですね。

「ただの成長段階の問題であって、この子自身の問題でも無ければ、わざとやっているわけでもないのね」

そう思うと少し見方が変わって、楽な気持ちになられるのではないかと思います。

ところが子どもが大きくなってきて、下の子が生まれたり、幼稚園入園前になると、今度は期待が大きくなってきてしまうのが親というもので。。

もうお兄ちゃんなのに〇〇できないなんて困る。。あと少しで幼稚園なのにまだ〇〇なので心配。。という考えの下、大人が期待をかけすぎてしまい、お子様が不安定になる姿も時に見られます。

出来るようにしなくちゃという思いが、逆にお子様のあかちゃん返りを促進させ、保護者様がさらに心配し、それを敏感に感じ取ったお子様が不安になり、自然と成長することを拒否してまた赤ちゃん返り。。

などという良くない循環もこの時期よく見られ、ご相談をお受けすることが多くあります。

どうかお子様が「無意識に発信している情報」に敏感になって頂きたいと思います。

言葉で上手に気持ちを伝えられるようになるのはまだまだ先のことです。

「なぜできないの!」と叱るよりも、まず先に「なぜできないのかしら?」と、     お子様の様子を【観察】し【情報を収集】し【推理】する習慣が身に付くと、

怒りという原始的な感情に惑わされることなく、冷静で適切な対応ができるようになるのです。

同じことを繰り返してしまうのは器官が未熟だから、と気付いたときのように、です。

そして最後に【共感】し、言葉という道具無しにお子様を理解し受け止められたら、こんなにすばらしいことは他にありませんね。

育児をがんばるすべての保護者様へ、エールをお送りしたいと思っております。

 

 

【第4回 スマートフォン時代の子育て】

近年、スマートフォンが一人一台は当たり前の時代になりました。       街で親子連れを見ていると、大変気になるシーンによく            遭遇するようにもなりました。

ベビーカーの傍で保護者様がスマホに見入っていたり。保護者様がおしゃべりに夢中で、その間お子様はスマホで動画を見ていたり。。 急ぎの件や、やむを得ない事情もあるでしょうから、そのすべてが良くないとは申し上げないのですが、あかちゃんがスマホやタブレットを操作している姿には違和感を感じています。

ある研究によると、動画視聴の際にはお子様の脳はほとんど活動していないそうです。長時間の視聴で言葉の遅れやコミュニケーションが苦手なお子様が増えていること、表情が乏しく自分の考えを言葉で表現するのが苦手なお子様が増えていることに、警鐘を鳴らす専門家の先生もおられます。

お子様の脳には、母国語を覚えるための臨界期があり、この時期の遅れは後から取り返すことが大変難しいと言われています。生後一年間は「自身の出した声に対して丁寧な反応が返ってくる」ことが最重要。動画はお子様の声に応えてくれることはありません。言葉を覚え、2語文が出るくらいまでの間は動画を見せる環境自体をつくりたくないですね。

お子様が笑顔でお父様お母様に向けて声を出し、ちいさな手を伸ばして、    優しく声をかけながらその手を取り、歌ったりお話なさっているすてきな親子を見かけますと、大変幸せな気持ちがいたします。

毎日大変な育児の中ではありますが、                    お子様と見つめあう時間が少しづつ増えることを願ってやみません。

 

 

 

 

 

 

【第3回 身体能力を発揮するということ】
わたくしたちが毎日の遊びやレッスンの中で意識的に取り入れている運動遊びの中には、実に様々な種類があります。
「モンキーバー」お子様が自力で大人の指につかまって行なうぶらさがり遊び
「手押し車」腕の力で体重を支えて前進する遊び
「ギャロップ」スキップのレディネスとなる、片足にもう片方の足を追随させて前進する遊びなどなど、数十種類の中から、その時そのお子様に適したものを選んで行なっています。
人間の身体能力を最も効果的に発揮させるためには、
進化の道筋を正しくたどることが重要と考えています。
最近はご家庭の畳が減り、フローリングの床に椅子での生活が多くなりました。
脚で床を蹴って前に進むことを覚え、やがて六つんばいから四つんばいへと移行し、自力歩行へと順調な進化を遂げることが大変望ましくありますが、
その道筋を通らないお子様が以前に比べて増えたように感じます。
わたくしたちの理想とする育児の形として、お子様の成長発達を偶然に任せず、
必然的に獲得できるようサポートしてゆきたいという思いが強くあります。
大事な体の基礎作りのこの時期、ただ自然に育つのを待つなんて、
あまりに勿体ないことだと思うのです。
アカデミーでは、ベビーは床に座って過ごす習慣、長い伝い歩きができる環境を。
トドラーはジャンプやケンケン、動物歩きなどを日常的に、当たり前のように。
行なっている運動遊びはほとんどが1~2㎡もあればできるものばかりです。
大きな園庭など無くても、毎日公園まで歩くことが体を強くしてくれます。
今の時期に育てたい運動能力の基礎は、楽しく楽しく!
「しなければならない」ものにしないことが大事ですね。

 

 

【第2回  手を使うということ】

TOEアカデミーでは、毎日のカリキュラムの中に、
手を使うアクティビティをたくさん取り入れています。
その中で感じることは、昔は当たり前だったことが、
なかなか難しく、出来なくなってきている。。ということです。

例えばわたくしの家庭では、自分の衣服を四角い形になるように丁寧にたたみ、
風呂敷の中央にバランスを考えて置き、
縦結びにならないように長さを調節して結ぶという習慣がありました。

なかなか2歳児には難易度が高いことでしたが、
当時は鉛筆もあえてナイフで削っていましたし、あやとりや折り紙も得意でしたから、
さほど難しいとも感じなかったのですね。

ゲームや便利グッズのない時代には、自然と行なっていたことも、
減ってきている今の時代だからこそ、
あえて手指の巧緻性が高まるような遊びや習慣を意識的に取り入れたいものですね。

カッターでなくはさみ
ピーラーでなく包丁
モップでなくぞうきん
チャック袋でなく巾着袋
マジックテープの靴でなく紐靴

指先を豊かに使って、脳をたくさん育ててゆきたいですね。

 

【第1回 アタッチメント】

今日もアカデミーは、子どもたちのはじけるような笑い声でいっぱいです。
その笑顔を見ていると、どれほどご家庭でもアカデミーでも愛され
アタッチメントの形成がしっかりできているかがよく分かるのですね。
 
満たされて育つこの子たちは、自分自身への信頼感を強く持ち、
囲にも強い信頼感を持てますから、
きっと行く先ではすばらしい人間関係を形成することができるでしょう。
 
「そんなことしていると置いていっちゃうわよ!」
「悪い子ね~もう何も買ってあげない!」
というような街中で聞こえてくる声や、時には叩いている姿を目にして、
いつも胸が痛みます。
お母様もお子様も、きっと同じように苦しんでいるのでしょう。
 
お子様のすることには必ず意味がありますね。
常にアンテナを張って、何のサインなのかを考えてみると、
言葉がこんな風に変換されるかもしれません。
 
「楽しいね~じゃあ次はあそこまでよーいどん!」
「〇〇してくれたらうれしいな~ぎゅーって抱っこしちゃう!」
 
言う事を聞かなかったら愛してもらえない。。
言う事を聞くふりさえしていれば愛してもらえる。。ではなくて、
いつどんな時も愛してもらえている、だから自分も返したい!
という気持ちでお子様がいられたら、本当にすばらしいことだと思います。
 
愛情の中でのびのび育つお子様の成長を見守りたいですね。